EM漆喰 blog 「漆喰と珪藻土の違いについて」

漆喰と珪藻土の違いについて

  • こんにちは、OK-DEPOTの丸山晃司です。

     

    今日は「漆喰と珪藻土」、どちらが優れているか?などの違いや、
    良く問合せのある選ぶポイントなどについて書いていきたいと思います。

     

    jirei31-2b

     

    と思いましたが、とっても長くなるので、まず結果を簡潔に記します!

     

    調湿効果や消臭効果などの機能性や快適性を重視する人は珪藻土!
    フラットな仕上げや塗り壁の意匠性で、珪藻土よりもコストを下げたい人は漆喰!

     

    と、非常に簡単に書きましたが、
    自然素材100%など、漆喰や珪藻土などが本来持っている機能を発揮している商品の場合には、一般的には上記の様になりますが、それぞれ、まがい物も多いので若干ややこしくなります。

     

    という事で、もう少し詳しく知りたいという人は、かなり長くなりますが、
    下記を読んでみてください。

     

    1)珪藻土と漆喰の原料の違い

    2)珪藻土と漆喰の意匠性(見た目)の違い

    3)珪藻土と漆喰の調湿効果の違い

    4)珪藻土と漆喰の固まり方(自硬性)について

    5)珪藻土と漆喰の安全性の違い

    6)珪藻土と漆喰の価格

    7)珪藻土と漆喰のメリット・デメリット

     

    1)珪藻土と漆喰の原料の違い

    漆喰は、強いアルカリ性を示す水酸化カルシウム(Ca(OH)2(消石灰))を主成分とし、布海苔(ふのり)、銀杏草(ぎんなんそう)、角叉(つのまた)などの海藻で保水性を高めると共に粘度調整を行い、麻(あさ)や藁(わら)などのすさで収縮を防止し、つなぎとして補強する事で、ひび割れなどをおきにくくしています。また、菜種油や桐油を一緒に練りこむ事で防水性を高め、外部などへ使用する事も出来ます。

    珪藻土は、植物性プランクトンなどの藻類の一種である珪藻の殻が長い年月をかけて堆積化した、二酸化ケイ素(SiO2)を主原料とした堆積物です。産地により大きく違いはあるものの、多孔質(小さな穴が多数ある)な為、体積あたりの重さは非常に小さく、お茶やビールなどのろ過材としても一般的に使用されている素材です。

     

    2)珪藻土と漆喰の意匠性(見た目)の違い

    一般的に、漆喰はツルツル、テカテカした仕上がりでフラットな仕上げを得意としております。また、骨材として川砂や硅砂などを配合する事で、左官職人さんの腕次第ですがパターンをつける事も可能です。一方、珪藻土は通常、漆喰と比較すると粒子が粗い為、フラットには不向きと言われており、様々なパターンをつけて施工する事を得意としております。また、珪藻土自体の含有量を下げて、粒度を小さくしていく事で、漆喰に近い仕上げにしていく事も可能な商品も出ています。

     

    3)珪藻土と漆喰の調湿効果の違い

    調湿効果に関しては、一般的には、珪藻土に軍配があがると言わざるを得ないでしょう。漆喰は樹脂成分などが入っていない本来の漆喰の機能を最大限発揮したとしても、1平米あたりの吸放湿量は30~40g/?/24h程度ですが、珪藻土壁材は、100g/?/24hを優に超え200g/?/24h以上の商品や中には300g/?/24h以上の商品もあります。また、漆喰は年月が経過すると共に硬化していき、調湿効果も徐々に減少していきます。先にも述べた通り、珪藻土は多孔質という特性があり、湿度が高い時には湿度を吸収し、湿度が低い時には吐き出すという性質を持っている為、天然の除湿機であり、加湿器でもあると言えます。また、自然素材系の塗り壁材が効果としてうたっているほとんどの機能は、この調湿効果や多孔質性に付随される物が多い為、その他の消臭効果、省エネ効果、吸音効果、自浄効果なども漆喰と比較すると圧倒的に珪藻土が勝るという事になります。

     

    4)珪藻土と漆喰の固まり方(自硬性)について

    漆喰は原料である石灰石を焼成する事で消石灰となり、水を加えて壁材として使用すると、空気中の二酸化炭素を吸収し、年月と共に硬化していく気硬性と言う性質を持っております。理屈上は二酸化炭素を吸収し続ける事で石灰石へと戻っていく事で、永遠のリサイクル素材という事が言われる事もありますが、実際に、その硬化し続けた漆喰壁を消石灰へと戻し使用したという事例はあまり聞いた事はありません。
    珪藻土は、珪藻土だけで固まる事が出来ない(自硬性が無い)為、壁材として使用する場合には、必ずバインダーと呼ばれる固化材を配合します。壁材として使用する場合には、原料成分として、漆喰(消石灰)100%というのはありえますが、珪藻土100%というのはありえません。珪藻土の固化材の種類には、粘土系、セメント系、消石灰系、化学樹脂系など様々な種類があり、その固化材の種類により、珪藻土の特性が大きく左右されます。

     

    5)珪藻土と漆喰の安全性の違い

    珪藻土や漆喰ともに自然素材100%の商品であれば、VOCの発生などはなく、どちらも室内の化学物質による汚染はないのだが、施工性をあげる、コストを下げるなどの理由から、化学樹脂等を配合している商品も少なくない。その場合には、化学物質が空気中に揮発してしまい、自然素材は安全という事自体が崩れてしまっている商品も多くある。また、珪藻土は、珪藻土自体で固まる事が出来ない為、バインダー(固化剤)を配合するが、その固化材も自然素材であれば安心できるが、ボンドなどを配合する事で安全性が損なわれてしまっている商品もある。また、製品の製造過程において焼成している珪藻土は、発ガン性の疑いも指摘されている。予防原則に則ると、未焼成の珪藻土を使用した方が安全という考え方がある。漆喰は、最近ではDIYなどで施主自ら塗る事なども増えているが、強アルカリなので、施工時には皮膚に直接触れない為にゴム手袋を使用するなどの準備が必要です。

     

    6)珪藻土と漆喰の価格

    材料代自体は、漆喰の方が安く珪藻土の方が高いというのが一般的です。しかし、珪藻土は、ビニールクロスや石膏ボードの上から直接施工できる事が多いのに対して、漆喰塗りは1回塗りで完成させるのではなく、中塗り、上塗りと2回に分けて施工する事が多く、その為に施工代は漆喰の方が高い場合も多いと思われます。(1回塗りの漆喰は、化学樹脂を配合してしまっている物も多くあるので注意が必要)。結果として、材料代と手間賃の材工という形でお願いすると、漆喰と珪藻土はそんなに価格が変わらないという事が多い様です。

     

    7)珪藻土と漆喰のメリット・デメリット

    珪藻土のメリットは、多孔質性による調湿機能がとても高いという事です。また、その機能に付随する消臭効果や吸音効果なども高いです。また、一般的に珪藻土は粒度が粗いものが使用されるケースが多いので、パターンも付けやすく、様々な意匠性を楽しめます。珪藻土のデメリットは、珪藻土は自ら固まる事が出来ない為、珪藻土100%というのはありません。必ず固化剤を配合しますが、そのバインダーに化学樹脂等を使用し、本来の調湿機能などを減少させてしまっている製品も数多くあります。また、粘土系の固化材を使用している場合、カビの問題や表面強度が弱い為、施工後にポロポロ落ちてくるという事もある。
    漆喰のメリットは、年月と共に表面強度が硬くなっていくという性質があり、下地処理が適切に行われていれば、細かく落ちてくるという事は無い。また、フラットに仕上げる事が出来る為、スッキリとした仕上げで施工する事ができる。デメリットは、珪藻土と比較すると、機能性は劣る。

     

    漆喰と珪藻土についての一般的に言われている事を記したが、問題はどちらの塗り壁材も、副資材として配合されている物により、上記の特性や本来の機能も発揮出来ていない商品が数多く出回ってしまっている為、珪藻土や漆喰とひとくくりで選択するのではなく、キチンと何が配合されているかを確認する事や、メーカー自体の物作りの考え方なども検証した上で、選定する事が重要だと思われます。

     

    OK-DEPOT お勧めの珪藻土は、こちら。

    OK-DEPOT お勧めの漆喰は、こちら。