# 1.漆喰の原料
- 石灰 太古の海からの贈りもの
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しっくいの主原料である石灰は、日本で唯一自給可能な鉱物資源です。
石灰岩は、太古の海中でサンゴ虫類などの海棲生物が堆積、化石化したものが長い時間をかけて海洋プレートによって大陸まで運ばれ、地上に隆起したものです。まさに太古の海からの贈り物といえます。
石灰は、しっくい以外にも建築、鉄鋼、農業、土木、化学工業の様々な分野で活用され、私たちの社会を支えている貴重な資源です。
- 糊 塗り付け作業の強い味方
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しっくいは、水を加えてよく練り、熟練した左官がコテという道具を使用して壁に塗り付けます。
この際、塗り付けがスムーズにいくように、糊となる材料を混ぜる必要があります。
つのまた、ふのり、銀杏藻などの天然海藻を炊いてつくった糊を混ぜるのが一般的ですが、醗酵させた藁を糊として用いる地域もあります。
- スサ ひび割れ防止に欠かせない
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しっくいは、水を加えて練ったものを塗り付けますので、乾燥した際に材料が収縮します。収縮時にひびが入るケースがあります。
そこで細かい繊維状のスサを入れることでひび割れを防止することが出来ます。
スサには、麻スサ、藁スサ、紙スサなどがあり、その多くは紐などとして使用されたものをリサイクルし、製品として用いています。
# 2.漆喰の製法
- 1.採掘
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採掘は、事前の地質調査を経て行われ、その保有成分により選別されます。
しっくいの原料となる石灰岩は純度の高い良質なものが使われます。
採掘された石灰岩はプラントに運ばれ、粉砕機で適切な大きさに調整されます。
- 2.焼成
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適切な大きさに粉砕された石灰岩はおよそ1000度の高温で焼いていきます。この工程を焼成といいます。
しっくいに使用される石灰は、土中炉と呼ばれる窯で岩塩を加えてじっくりと長時間かけて焼成します。
この方法は塩焼と呼ばれ、長い歴史の中で完成された伝統的な製造方法です。
塩焼で製造した石灰は、より白く、ひび割れのしにくい強いしっくいになります。
- 3.消化
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焼成により、石灰岩は生石灰と呼ばれるものになります。焼く前に比べ軽くなり、白色化します。
生石灰は水をかけると発熱し、消石灰となります。
この工程を消化といい、この消石灰がしっくいの主原料となります。
- 4.混合
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こうして得られた消石灰に、混合プラントで糊とスサを混合することでしっくい製品となり、出荷されます。